薄毛の原因は様々ですが、日常的なヘアスタイルが原因で起こる「牽引性脱毛症(けんいんせいだつもうしょう)」というものがあることをご存知でしょうか。これは、髪の毛が長時間にわたって強く引っ張られることで、毛根に負担がかかり、その部分の髪が抜けやすくなったり、生えにくくなったりする脱毛症です。特に女性に多く見られますが、男性でも起こり得ます。牽引性脱毛症を予防するためには、日頃の髪型に注意することが非常に重要です。牽引性脱毛症を引き起こしやすい代表的なヘアスタイルとしては、ポニーテールやツインテール、お団子ヘアなど、髪をきつく結ぶスタイルが挙げられます。また、編み込みやエクステンション、毎日同じ分け目なども、特定の部位の毛根に継続的な負担をかけるため、原因となることがあります。バレリーナやキャビンアテンダントなど、職業柄、髪をきつくまとめる必要がある方に起こりやすいとも言われています。症状としては、主に髪の生え際(特に額やこめかみ)や分け目、髪を結んでいる部分の髪が薄くなるのが特徴です。初期には、その部分の頭皮に赤みやかゆみ、痛みを感じることもあります。進行すると、毛包がダメージを受け、髪の毛が細くなったり、生えてこなくなったりすることもあります。牽引性脱毛症を予防するためには、まず、髪をきつく結ぶヘアスタイルを長時間続けないことが大切です。もし、仕事などでどうしても髪をまとめる必要がある場合は、できるだけ緩めに結んだり、休憩時間には髪をほどいて頭皮を休ませたりする工夫をしましょう。毎日同じ髪型をするのではなく、たまには分け目を変えたり、ダウンスタイルにしたりするなど、髪型にバリエーションを持たせることも有効です。ヘアゴムやヘアピンも、髪に優しい素材のものを選んだり、きつく締め付けすぎないように注意したりすることが大切です。エクステンションをしている場合は、定期的に付け替えたり、長期間連続して使用するのは避けたりするようにしましょう。また、頭皮マッサージを取り入れて、血行を促進し、毛根への負担を和らげるのも効果的です。もし、牽引性脱毛症の兆候が見られた場合は、できるだけ早く原因となっているヘアスタイルを中止し、頭皮への負担を減らすことが最も重要です。症状が改善しない場合や、薄毛が気になる場合は、皮膚科医に相談することをお勧めします。