私が薄毛初期に気づいた瞬間

まさか自分が、と多くの人が思うのではないでしょうか。私もその一人でした。薄毛という言葉はどこか他人事で、自分には縁遠いものだと信じて疑いませんでした。しかし、ある日を境に、その認識は徐々に揺らぎ始めたのです。私が薄毛の初期症状かもしれない、と最初に意識したのは、毎朝の洗面台でのことでした。髪をセットしようと鏡の前に立ったとき、ふと分け目のあたりが以前より少し白い面積が増えているような気がしたのです。気のせいかな、とその日は特に気に留めませんでした。しかし、その日から数週間、同じような違和感が続きました。そして決定打となったのは、シャワーを浴びている時でした。髪を洗っていると、手に絡みつく抜け毛の量が明らかに増えていることに気づいたのです。排水溝に溜まる髪の毛の量も、心なしか多くなったように感じました。その瞬間、言いようのない不安が胸をよぎりました。「もしかして、始まってしまったのか?」と。それからは、自分の髪の状態が気になって仕方がありませんでした。合わせ鏡で頭頂部を確認したり、スマートフォンのカメラで写真を撮ってみたり。以前の写真と見比べては、ため息をつく日々。友人との会話の中で、ふと「最近、髪薄くなった?」などと言われるのではないかと、内心ビクビクすることも増えました。特に、美容院に行くのが少し億劫になったのを覚えています。美容師さんに何か指摘されるのではないか、あるいは他の客の目が気になるのではないか、と余計な心配ばかりしていました。情報収集も始めました。インターネットで「薄毛 初期症状」「抜け毛 原因」といったキーワードで検索し、様々な情報を読み漁りました。そこには、遺伝、ストレス、生活習慣の乱れなど、多くの原因が挙げられており、自分に当てはまるものもいくつかあるように感じました。同時に、多くの対策法や治療法も紹介されていましたが、何から手をつければ良いのか、どれが本当に効果があるのか、正直なところ混乱しました。ただ、一つだけはっきりしていたのは、このまま何もしないでいるのは嫌だ、ということでした。

薄毛対策より大切な心の持ちよう

薄毛の悩みに対し、育毛剤を使ったり、専門クリニックに通ったりといった「対策」にばかり意識が向きがちですが、実はそれと同じくらい、あるいはそれ以上に大切なのが「心の持ちよう」です。どのような心構えで薄毛と向き合うかによって、悩みの深さや生活の質は大きく変わってきます。どんなに効果的な対策を施したとしても、心がネガティブな状態であれば、小さな変化にも一喜一憂し、常に不安を抱え続けることになりかねません。逆に、心が安定していれば、たとえ薄毛が進行したとしても、それを受け入れ、自分らしく生きる道を見つけることができるでしょう。まず、心がけたいのは「自己受容」です。これは、ありのままの自分を、良い面も悪い面も全て含めて受け入れるということです。薄毛であるという事実も、自分の一部として受け止める。これは諦めとは違います。現状を否定せず、客観的に認識することから、建設的な次の一歩が始まります。「なぜ自分だけが…」と他人と比較したり、過去の自分と比べて落ち込んだりするのではなく、「今の自分」を起点に考えることが大切です。次に、「完璧主義からの脱却」です。薄毛を完全に治したい、昔のようなフサフサの髪を取り戻したい、という願望は自然なものですが、それに固執しすぎると、現実とのギャップに苦しむことになります。医学的な治療にも限界はありますし、加齢による変化は誰にでも起こり得ます。100点満点を目指すのではなく、現状維持ができれば上出来、少しでも改善すればラッキー、くらいの気持ちでいる方が、心に余裕が生まれます。また、「視点を変える」ことも有効です。薄毛という一点に集中しすぎると、視野が狭くなりがちです。自分の人生には、髪の毛以外にも大切なものがたくさんあるはずです。仕事、趣味、家族、友人、健康など、他の側面に目を向け、それらを充実させることで、相対的に薄毛の悩みの比重を小さくすることができます。何かに夢中になっている時は、悩みを忘れているものです。そして、「感謝の心」を持つことです。髪の毛が薄くなったとしても、今あるもの、恵まれているものに目を向け、感謝する。健康であること、食べるものがあること、住む家があること、支えてくれる人がいること。当たり前だと思っていることに感謝することで、心が満たされ、小さな不満や悩みが気にならなくなることがあります。