「最近、髪のボリュームが減ってきた気がする」「分け目が目立つようになったかも…」そんな薄毛の悩みを抱える女性は少なくありません。しかし、どこに相談すれば良いのか分からず、一人で抱え込んでしまうケースも多いのではないでしょうか。実は、女性の薄毛の悩みも、皮膚科で相談することができます。皮膚科は、皮膚だけでなく、髪の毛や爪といった皮膚付属器の疾患も専門としています。そのため、薄毛や抜け毛の原因を医学的な観点から診断し、適切な治療法やアドバイスを提供してくれます。男性の薄毛(AGA)のイメージが強いかもしれませんが、女性特有の薄毛の原因や治療法についても、皮膚科医は専門的な知識を持っています。例えば、FAGA(女性男性型脱毛症)、びまん性脱毛症、分娩後脱毛症、牽引性脱毛症、円形脱毛症など、女性に見られる脱毛症は多岐にわたります。これらの脱毛症は、それぞれ原因や症状が異なるため、自己判断で市販の育毛剤などを使用しても、効果が得られないばかりか、症状を悪化させてしまう可能性もあります。皮膚科では、まず問診で生活習慣や既往歴、家族歴などを詳しく聞き取り、視診や触診で頭皮や髪の状態を確認します。必要に応じて、マイクロスコープで毛穴や毛根の状態を詳細に観察したり、血液検査でホルモンバランスや栄養状態(鉄分、亜鉛など)を調べたりすることもあります。これらの検査結果に基づいて、薄毛の原因を特定し、一人ひとりの状態に合わせた治療方針を立てていきます。治療法としては、内服薬や外用薬の処方、生活習慣の指導、栄養指導、場合によっては専門的な治療(例えば、低出力レーザー治療や注入療法など)を行っている医療機関を紹介してもらえることもあります。女性の薄毛は、男性のAGAとは異なるアプローチが必要な場合が多いため、専門医の診断を受けることが非常に重要です。一人で悩まず、まずは勇気を出して皮膚科のドアを叩いてみましょう。皮膚科医は、あなたの悩みに寄り添い、解決への道を一緒に探してくれるはずです。最近では、女性の薄毛治療に特化した外来を設けている皮膚科や、女性医師が在籍しているクリニックも増えていますので、そういった情報を事前に調べてみるのも良いでしょう。
月: 2022年4月
抜け毛の太さや長さでわかること
抜け毛をチェックする際、単に本数が多いか少ないかだけでなく、抜けた毛の「太さ」や「長さ」にも注目することが重要です。これらの特徴は、髪の健康状態やヘアサイクルの状態を反映しており、抜け毛の原因を探る上で貴重な手がかりとなります。まず、抜け毛が太くて長い場合、これは比較的健康な髪が自然なヘアサイクル(毛周期)を経て抜け落ちた可能性が高いと考えられます。髪の毛は成長期に太く長く成長し、その後退行期、休止期を経て自然に脱毛します。このような抜け毛は、ある程度は誰にでも見られるものです。しかし、太くて長い毛であっても、その本数が異常に多い場合は、何らかの原因で休止期に入る毛が急増している可能性(休止期脱毛)も考えられるため、注意が必要です。一方、抜け毛が細くて短い場合、これは髪の毛が十分に成長する前に抜け落ちてしまっているサインです。AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)では、ヘアサイクルの成長期が短縮し、髪が太く長くなる前に退行期・休止期へと移行してしまうため、細くて短い抜け毛(軟毛化)が増える傾向があります。このような抜け毛が多い場合は、薄毛が進行している可能性を疑う必要があります。また、栄養不足や血行不良、過度なストレスなども、髪の成長を妨げ、細く短い抜け毛の原因となることがあります。髪の毛の太さや長さにばらつきがある場合、例えば太い毛と細い毛が混在しているような場合は、頭皮環境が悪化していたり、部分的にヘアサイクルが乱れていたりする可能性があります。切れ毛と抜け毛を見分けることも大切です。切れ毛は、毛根が付いておらず、途中で切れたような状態になっています。これは髪のダメージ(パーマやカラーリング、乾燥など)が原因であることが多く、抜け毛とは原因が異なります。抜け毛の太さや長さを日常的にチェックすることで、自分の髪の状態の変化に気づきやすくなります。もし、細くて短い抜け毛が増えてきたと感じたら、早めに専門医に相談し、適切なアドバイスを受けることをお勧めします。
今日から始める薄毛予防のための食生活
薄毛の悩みは、見た目の印象だけでなく、精神的な負担にも繋がることがあります。本格的な薄毛治療を始める前に、あるいは治療と並行して、日々の生活習慣を見直すことで薄毛を予防することは非常に重要です。その中でも、毎日の食生活は髪の健康に直結する要素であり、意識的な改善が求められます。髪の毛の主成分はケラチンというタンパク質です。そのため、良質なタンパク質を十分に摂取することが、薄毛予防の基本となります。肉類、魚介類、卵、大豆製品、乳製品などをバランス良く食事に取り入れましょう。特に、大豆製品に含まれるイソフラボンは、女性ホルモンと似た働きをすると言われ、ホルモンバランスを整える効果も期待できるため、女性の薄毛予防にも有効です。次に重要なのがビタミン類です。ビタミンAは頭皮の新陳代謝を促し、健康な頭皮環境を維持するのに役立ちます。レバーやうなぎ、緑黄色野菜に多く含まれます。ビタミンB群、特にビオチンやパントテン酸は、髪の主成分であるケラチンの生成を助ける働きがあります。豚肉や魚介類、ナッツ類、豆類などに豊富です。ビタミンCは、コラーゲンの生成を促進し、頭皮の弾力性を保つとともに、鉄分の吸収を助ける効果もあります。果物や野菜、いも類から摂取できます。ビタミンEは、強力な抗酸化作用を持ち、血行を促進して毛根に栄養を届けやすくします。ナッツ類や植物油、アボカドなどに含まれます。ミネラルも髪の健康には欠かせません。特に亜鉛は、タンパク質の合成に不可欠であり、不足すると髪の成長が妨げられる可能性があります。牡蠣やレバー、牛肉、ナッツ類などに多く含まれます。鉄分も、血液を通じて髪に酸素を運ぶヘモグロビンの材料となるため、不足しないように注意が必要です。ほうれん草やひじき、赤身の肉、レバーなどから摂取しましょう。逆に、薄毛予防の観点から避けたいのは、脂質の多い食事や糖分の過剰摂取です。これらは皮脂の過剰な分泌を招き、毛穴を詰まらせたり、頭皮環境を悪化させたりする可能性があります。また、インスタント食品や加工食品の摂りすぎも、栄養バランスの偏りを招くため注意が必要です。外食が多い人や偏食気味の人は、サプリメントで不足しがちな栄養素を補うのも一つの方法ですが、基本はやはり毎日の食事からバランス良く摂取することを心がけましょう。
生え際や頭頂部が気になる禿げるかも
「最近、額の生え際が後退してきた気がする」「頭頂部のつむじ周りの地肌が目立つようになった」こうした特定の部位の変化は、多くの場合、男性型脱毛症(AGA)の初期症状であり、「禿げるかもしれない」という不安を抱かせる代表的な前兆です。AGAは進行性の脱毛症であり、これらのサインに気づいたら、早めの対処が肝心です。まず、「生え際の後退」についてです。AGAの典型的なパターンの一つに、額の生え際がM字型、あるいはU字型に後退していくものがあります。頭頂部の髪のボリュームが減り、地肌が透けて見えるようになってきた、つむじが以前よりも大きく見えるようになった、といった変化があれば、AGAが進行している可能性があります。特に、頭頂部の髪の毛が細く、ハリやコシがなくなってきたと感じる場合は要注意です。これらの生え際や頭頂部の薄毛は、男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が、これらの部位の毛乳頭細胞にある男性ホルモンレセプターと結合しやすいことと関連しています。DHTの影響を受けると、毛髪の成長期が短縮され、毛包が徐々に小さくなり(ミニチュア化)、結果として細く短い毛しか生えなくなり、最終的には毛が生えなくなってしまうのです。もし、生え際や頭頂部の薄毛が気になり始めたら、それはAGAのサインである可能性が高いと考え、自己判断で放置せずに、早めに皮膚科や薄毛治療を専門とするクリニックを受診することをお勧めします。医師は、視診やマイクロスコープ検査などによってAGAの進行度を正確に診断し、フィナステリドやミノキシジルといった治療薬を用いた適切な治療法を提案してくれます。早期治療が、薄毛の進行を食い止め、改善に繋がる鍵となります。