薄毛の初期症状に気づいた際、それがどのようなパターンで進行していくのかを知ることは、不安を軽減し、適切な対策を講じる上で役立ちます。薄毛の進行パターンは、性別や原因によって異なり、代表的なものには男性型脱毛症(AGA)や女性特有の薄毛のパターンがあります。これらを理解することで、自分の状態を客観的に把握しやすくなるでしょう。まず、男性の薄毛で最も多いのが男性型脱毛症、いわゆるAGAです。AGAは男性ホルモンの一種であるテストステロンが、5αリダクターゼという酵素の働きによってジヒドロテストステロン(DHT)に変換され、このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結合することで、毛髪の成長期を短縮させ、髪が太く長く成長する前に抜け落ちてしまうことが原因です。AGAの進行パターンにはいくつかの代表的な型があります。一つは、額の生え際が後退していくM字型です。左右の剃り込み部分から薄くなり始め、徐々に後退していきます。もう一つは、頭頂部(つむじ周辺)から薄くなるO字型です。自分では気づきにくく、他人から指摘されて発覚することも少なくありません。さらに、M字型とO字型が同時に進行するU字型(あるいはM+O型)もあります。これらのパターンは遺伝的要因が強く関与しているとされています。初期の段階では、抜け毛の増加や髪のボリュームダウン、髪質の変化(細く、コシがなくなる)といった兆候が見られます。女性の薄毛は、男性のAGAのように特定の部位から局所的に進行するよりも、頭部全体の髪が均等に薄くなる「びまん性脱毛症」が多いのが特徴です。分け目が目立ってきたり、髪全体のボリュームが減って地肌が透けて見えやすくなったりします。生え際の後退が起こることもありますが、男性ほど顕著ではありません。女性の薄毛の原因は、ホルモンバランスの乱れ(加齢、出産、経口避妊薬の服用中止など)、ストレス、過度なダイエットによる栄養不足、甲状腺疾患、間違ったヘアケアなどが挙げられます。特に更年期以降は女性ホルモンのエストロゲンが減少し、相対的に男性ホルモンの影響を受けやすくなるため、薄毛が進行しやすくなることがあります。また、牽引性脱毛症といって、ポニーテールやきつい編み込みなど、髪を強く引っ張る髪型を長期間続けることで、生え際や分け目の部分が薄くなることもあります。