薄毛かどうかを判断する際、抜け毛の本数だけでなく、「髪の太さ」と「髪の密度」も非常に重要な基準となります。たとえ抜け毛の本数が正常範囲内であっても、生えている髪の毛一本一本が細くなったり、単位面積あたりの髪の毛の本数(密度)が減少したりすれば、全体として薄毛に見えてしまうのです。まず、「髪の太さ」についてです。健康な髪の毛は、ある程度の太さとハリ、コシを持っています。しかし、男性型脱毛症(AGA)や女性型脱毛症などの影響を受けると、毛包が徐々に小さくなり(ミニチュア化)、そこから生えてくる髪の毛も細く、弱々しくなってしまいます。これを「軟毛化」と呼びます。以前は太くてしっかりしていた髪が、産毛のように細く柔らかくなってきたと感じる場合は、薄毛が進行しているサインかもしれません。髪の太さを確認する方法としては、自分の髪の毛を指でつまんでみたり、他の部位の毛(例えば腕の毛など)と比較してみたりする方法があります。また、美容師さんに「以前より髪が細くなりましたか?」と尋ねてみるのも客観的な意見として参考になります。マイクロスコープを使って頭皮や毛髪の状態を詳細に観察できるクリニックでは、より正確に髪の太さの変化を把握することができます。次に、「髪の密度」です。これは、頭皮の一定面積あたりに生えている髪の毛の本数を指します。髪の密度が低下すると、地肌が透けて見えやすくなり、薄毛の印象が強くなります。髪の密度が低下する主な原因は、毛包の数が減少すること、あるいは毛包が休止期に入って髪が生えてこなくなることです。特に、AGAでは毛髪の成長期が短縮され、休止期に入る毛包が増えるため、徐々に髪の密度が低下していきます。髪の密度を確認する方法としては、分け目や生え際、頭頂部などを鏡でチェックし、以前よりも地肌が目立ってきていないかを確認します。合わせ鏡を使ったり、家族や友人に頭頂部の状態を見てもらったりするのも良いでしょう。スマートフォンのカメラで定期的に頭皮の写真を撮り、比較するのも変化を捉えるのに役立ちます。美容院で「最近、分け目が広くなった気がするのですが」と相談してみるのも良いかもしれません。髪の太さと密度は、薄毛の進行度を判断する上で非常に重要な指標です。