抜け毛は誰にでも起こりうる生理現象ですが、その量や質、その他の症状によっては専門医への相談が必要となる場合があります。では、どのような状態になったら皮膚科や薄毛専門クリニックを受診すべきなのでしょうか。その目安をいくつかご紹介します。まず、抜け毛の本数が明らかに増えた場合です。1日に100本を超える抜け毛が数週間以上続くようであれば、何らかの異常が考えられます。特に、以前と比べて急激に抜け毛が増加した場合は注意が必要です。次に、抜け毛の質に変化が見られた場合です。細くて短い毛や、毛根が弱々しい毛が増えてきたら、AGA(男性型脱毛症)やFAGA(女性男性型脱毛症)などの進行性の脱毛症が疑われます。これらの脱毛症は早期の治療開始が効果的であるため、早めの相談が推奨されます。また、特定の部位だけが集中的に抜ける場合も注意が必要です。円形脱毛症のように、コイン程度の大きさで急に毛が抜け落ちる場合は、皮膚科を受診しましょう。頭皮に強いかゆみ、赤み、痛み、フケ、湿疹などの炎症症状が伴う場合も、専門医の診察が必要です。脂漏性皮膚炎や接触皮膚炎など、頭皮の病気が原因で抜け毛が引き起こされている可能性があります。さらに、抜け毛だけでなく、髪全体のボリュームが明らかに減ってきた、地肌が透けて見えるようになった、生え際が後退してきた、頭頂部が薄くなってきたなど、薄毛の進行を自覚する場合も相談の目安となります。家族に薄毛の人がいる(遺伝的要因)、強いストレスを感じている、生活習慣が乱れている、特定の薬を服用し始めたなど、抜け毛の原因となりうる背景がある場合も、一度専門医に相談してみると良いでしょう。これらの目安に当てはまらなくても、自分で「おかしいな」「心配だな」と感じたら、遠慮せずに専門医のドアを叩いてみてください。早期発見・早期対策が、健康な髪を維持するためには非常に重要です。医師は問診や視診、場合によっては検査を通じて原因を特定し、適切なアドバイスや治療法を提案してくれます。