大人だけでなく、子供にも薄毛や抜け毛の症状が現れることがあります。子供の髪の毛が薄くなったり、円形脱毛症のような抜け方をしたりすると、親御さんとしては非常に心配になるでしょう。子供の薄毛の場合、何科に相談すれば良いのでしょうか。基本的には、大人と同様に「皮膚科」を受診するのが一般的です。皮膚科医は、子供の脱毛症についても専門的な知識を持っており、原因を特定し、適切なアドバイスや治療を行ってくれます。子供に見られる脱毛症の原因としては、まず「円形脱毛症」が挙げられます。子供の円形脱毛症は比較的多く見られ、アトピー性皮膚炎や気管支喘息などのアレルギー疾患を持っている子に合併しやすい傾向があります。ストレスが誘因となることもありますが、それだけが原因ではありません。次に、「抜毛症(トリコチロマニア)」も考えられます。これは、自分で無意識のうちに髪の毛を抜いてしまう癖によるもので、精神的なストレスや不安が背景にあることが多いとされています。特定の部位の髪が不自然に薄くなったり、短い切れ毛が目立ったりするのが特徴です。また、まれですが、「先天性の乏毛症・無毛症」といった遺伝的な要因によるものや、頭皮の感染症(例えば、頭部白癬(しらくも)など)が原因で脱毛が起こることもあります。その他、栄養状態の偏りや、特定の薬剤の副作用なども考慮に入れる必要があります。皮膚科では、まず問診で発症時期や症状の経過、生活習慣、ストレスの状況、既往歴、家族歴などを詳しく聞き取ります。視診で脱毛の状態や頭皮の状態を観察し、必要に応じてダーモスコピー検査や真菌検査(頭部白癬が疑われる場合)などを行います。血液検査は、子供の場合は負担を考慮し、必要性が高いと判断された場合に行われることが多いです。治療法は、原因によって異なります。円形脱毛症の場合は、ステロイド外用薬の塗布が中心となります。症状が強い場合は、他の治療法が検討されることもありますが、子供の場合は副作用に十分配慮しながら慎重に進められます。抜毛症の場合は、癖を自覚させ、ストレスの原因を取り除くような環境調整や、場合によっては心療内科や小児精神科との連携が必要になることもあります。